麻酔科最近の変化
1、プロポフォールという新しい麻酔薬が使われるようになりました。
白い液体です。点滴から入るとき少し痛みがあります。
点滴をしている間だけ、眠ることができます。
点滴を止めるとすぐに目が覚めます。心地よい夢を見るらしく、患者さんの感想は良好です。
最近では、下のようなポンプ(TCIポンプ:target controlled infusion pump)が使われるようになり、予測血液濃度を計算しながら、自動的に注入する方法になっています。
2、下半身の手術では、術後3日−1週間の術後鎮痛が、可能となってきました。
風船式やスプリング式の持続注入ポンプが使用できるようになり、硬膜外(こうまくがい)麻酔による鎮痛が術後継続して行えます。
1-15ml/hまで段階的に流量をコントロールできるものも、でてきました。 アナペインという薬剤は、いままでの薬剤より流量を多くする必要があり、患者さんの様子をみながら、流量を設定できます。 |
||
キーシステムになっていて、キーを抜くと流量の設定の変更ができなくなるようになっています。 |
3、日帰り麻酔が徐々に普及しつつあります。
手術当日朝来院し、そのまま手術となります。
麻酔(全身麻酔や硬膜外(こうまうがい)麻酔、脊椎(せきつい)麻酔)をその日におこない、その日のうちに自宅あるいは、他院に返します。
おもに自宅でも看護できるような簡単な手術が対象となります。
しかし麻酔に関する危険性は、通常の手術の麻酔と同じが、術後が十分観察できない点では、むしろ危険です。
そのため、術後しばらく、観察期間を設け、状態が安定してから、帰宅していただきます。
帰宅後の家族との連絡も大切で、なにか異常があれば、すぐにコンタクトがとれるようにしておきます。
4、心臓手術にも、硬膜外(こうまくがい)麻酔やプロポフォールが使用されるようになりました。
そのため、以前は、1ー2日、人工呼吸が必要でしたが、手術後すぐに、人工呼吸からはなれ、自分で呼吸ができるようになり、口から入っている管も、手術室で抜けるようになりました。術後の胸の痛みも、随分と緩和できるようになりました。
5、点滴から入れる麻酔薬濃度を自動コントロールするような方法が進んでいます。TCI(target
controlled infusion )という方法です。
ある程度患者さんの血液中の麻酔薬の濃度を予測しながら、コンピュータでコントロールされた注射器から麻酔薬を入れる方法です。必要最低限の薬剤が注入され、いままでカンにたよっていた麻酔からの進歩です。
6、麻酔のかかり具合(麻酔がかかっているか、さめているか)を周りからみてもわかるように数字として表すことができるようになりつつあります。BIS(bispectral index)という脳波を利用した方法です。
100% に近いと覚醒状態で、麻酔がかかると下がっていきます。
手術途中で覚めそうになった場合、麻酔薬を追加して、手術中に覚めることを防止できます。
|
|
7、脊椎麻酔に右の模型(左端)のような針先がペンシル状のものが使われるようになり、脊椎麻酔後の頭痛が少なくなるように努力されるようになりました。
8、アルチバ(レミフェンタニル)が使用されるようになりました。
点滴から入れる強力な麻酔薬です。点滴をやめると5分から10分程度で効果がなくなりますので、麻酔からの覚めが、画期的に速くなりました。だだ知らないうちに、手術に点滴が途中でとまったりして、麻酔薬が入っていいないと麻酔が浅くなり注意が必要です。
そのため、点滴用のアラームを開発してもらいました(上の写真の右側)。秋葉原の電気屋さんが作ってくれて、市販されています「てんてきくん」。
9、、筋弛緩薬 エスラックス(ロクロニウム)と拮抗薬 ブリディオン(スガマデクス)が使用されるようになりました。
少しづづ加筆していきますので、よろしくお願いいたします。
メール・質問はこちら
kanemitsu-higashi.org