ホームページへ | 体験談目次へ |
大きなプリンさんの麻酔・手術体験記1「手術前夜まで」 私の入院したのは、麻酔科のある総合病院(大学病院)でした。 受けたのは腹部の外科手術です。 手術を受けることが決まってから手術までに、少し時間があったので、麻酔については自分なりに情報を集めていました。 たぶん硬膜外麻酔と全身麻酔の併用になるだろう、術後は硬膜外のチューブから薬を入れて痛みを取ってもらえるのだろう、そんな感じでした。 <入院してから手術3日前まで> 入院するよう連絡があって、大きな荷物を抱えてまず外来へ。 そこでいきなり、各種検査(レントゲン、心電図、肺機能など)に行って来るよう言われる。 荷物を預かってもらい、「とりあえず痛そうな検査はないな」と思いながら検査室を回る。 肺機能の検査は、初めてで要領がわからず、何度やっても限界まで息を吸うというのが難しかった。 そこで発見したことは今まで思っていたより自分の肺活量が多かったということ。 検査を終え、いい加減疲れたところで病棟へ案内された。 その日は他に検査はなく、主治医のA先生から今後の予定や手術についての説明を受けたり、担当看護婦のBさんと話したり・・・。 それから数日は、色々と検査が続いた。手術中の出血に備え、自己血も採っておいた。 <手術3日前> A先生から「何時かはわからないけど夕方麻酔科の先生が来られるからね」と聞く。 色々と質問されることはわかっていたので、思いつくままメモしてみる。 たぶん夕食の後だったと思う。麻酔科のC先生が来室される。 麻酔の方法や手順の説明、問診、診察、麻酔の体位が取れるか、首を後ろに反らせることができるかの確認などをされる。 また、痛みの度合いを測るスケールについても説明を受けた。 ☆麻酔について 麻酔は全身麻酔と硬膜外麻酔の併用。硬膜外のチューブは術後もしばらく入れておき、痛み止めに使う。 全身麻酔の薬は、硬膜外麻酔をした後で、静脈から入れる。 当日朝起きたら、気分が落ち着く(頭がぼーっとする)薬を飲む。 手術室に入ったら、まず心電図の電極、血圧計などをつける。 次に、手の甲の静脈に点滴の針を刺す。 この針は柔らかい素材でできた特別な針で、外筒がプラスチックで、内側(内筒)が金属製になっているとのこと。 針を「こんなものです」と見せて下さる。 針を刺す時痛いので、痛みを和らげるため、「ペンレス」というシールを当日の朝、手の甲に貼ると聞く。 「そんな優れものがあるのか」と感心するとともに、「痛くないのね」と安心する。 その次にすることは、硬膜外麻酔。 痛み止めの注射をしてから針を刺すから痛くないが、背中を押されるような感じがすると説明を受ける。 硬膜外麻酔のチューブをテープで止めたら,仰向けになる。そして酸素マスクを口に当てる。 そのうち、全身麻酔が効いて眠る。 目が覚めたら、手術は終わっている。 眠ったら、気管内挿管をする。 他に、手首の動脈に針を刺したり(血液中の酸素の状態を見るため?)、首の静脈から心臓の近くまでカテーテルを入れたり、尿道カテーテルを入れたりする。 麻酔をきったら、15分ぐらいで目が覚める。目が覚めたら、気管に入っている管を抜く。 30分ぐらい回復室で様子を見て、大丈夫だったら病棟に帰る。 ☆問診 これまでの手術歴、既往症、麻酔で体調が悪くなったことがあるか、アレルギーはあるか、親戚や家族に麻酔で体調の悪くなった人はいるか、ぐらぐらした歯はないかなど、色々と聞かれる。 献血や検査で太い針を血管に刺した時に何度か気分が悪くなったことなど、気になることを全部話したが、いずれも心配ないとのことで安心する。 私は眼鏡をかけており、外すとあまりよく見えないので、少し顔を近づけて話しかけてもらうようお願いしておいた。 (手術室に入る時、眼鏡ははずして行くので)同じことは、A先生、病棟の看護婦さんにもお願いしておいた。 ☆診察 聴診、口のなかの様子を見るなど。 ☆麻酔の体位など 麻酔の体位を取った時、「だいたいこのあたりに針を刺します」と言って背中を触られ、理解するとともに少し怖くなる。 でも「痛み止めの注射をしてから針を刺すと言ってたし」、「足のつめを取った時だって、麻酔の注射はそれなりに痛かったけど、その後は痛くもかゆくもなかったよね」などと考えながら心を落ち着ける。 首を後ろに反らせることができるかというのは、気管内挿管に関係することだということだった。 ☆痛みの度合いを測るスケール 目盛りが0から5まで打ってあって、0のところにはニコニコした顔、5のところにはすごく痛そうな様子の顔のイラストがついている。 その0から5までの間にスライドさせて動かす部分がある。術後の痛みの度合いを測るのに使うとのこと。 最後に麻酔の説明に使ったプリントを前日までによく読んでおくように言って、C先生は帰って行かれた。 <手術2日前> 日勤の看護婦さんから、手術に当たって用意する物、手術後に備えて手術前から練習すること、手術前日と当日の予定などについてプリントを使って説明を受ける。 手術後に備えて手術前から練習することとは、腹式呼吸の練習、足の運動(肺塞栓を予防するため)、ネブライザー(吸入器)の使い方などだった。 A先生から、「当日は病棟で鼻から胃までチューブを入れてから手術室に入る」と聞いていたが、説明のプリントには入れないと書いてあった。 看護婦さんに確認してもらったところ、「麻酔科の先生が、麻酔をかけた後でいいとおっしゃっているから」とのこと。チューブを入れるのは苦しそうで気が重かったので、少し気が楽になる。 気がかりなことは色々あったが、一番は下剤とか浣腸とかいう言葉だった。 普段おなかが交通渋滞になることはないので、二つともお世話になったことのない代物。 周りの患者さんが、下部消化管の内視鏡検査で下剤を使って苦労した話を聞いていたので、どんなふうに薬が効くのか不安になった。 看護婦さんに聞いても、「効き方には個人差がある」との答え。 「手術前夜9時に下剤を飲んで、夜中にトイレに行きたくはならないんだろうか、行きたくなったら眠れないじゃないか」と思う。 <手術前日> 午前中、麻酔科に行き、術前診察を受ける。説明をされるのは、当日の手術全体を統括する医師。 先日もらったプリントを示しながら、再度説明を受け、麻酔承諾依頼書に医師と私がサインした。 午後は忙しい。手術部位周辺の剃毛、終わったら入浴。 決められた時間に下剤を飲む。 下剤は飲んですぐに効くものではないらしい。 普段と変わらない感じでトイレに行く。 夕方になって、手術室の看護婦さんが来室される。 手術室に入ってからすること、 手術室で医師や看護婦がどんな服装をしているかなどについて、写真を示しながら説明してくださる。 不安が少し減った。 「寒がりですか、暑がりですか」と聞かれた。 「たぶんどっちでもないです」と答える。「では明日お待ちしています」と言って看護婦さんは帰って行かれた。 麻酔科のC先生も夕方「お変わりありませんか」と言いながら来室される。 明日の朝飲む薬は少量の水で飲むこと、朝、ペンレスのシールを貼ることなどを確認される。 質問は特になかったのでしなかった。「後はA先生とC先生にお任せするだけ」という感じで心が落ち着いてきた。 夕食が来た。しばらくは食べられなくなる。でも深く考えないようにして、同室の人とお喋りしながら食べた。 9時までは、水やお茶は飲める。 あまり飲みたくはならなかったが、9時以降は飲めないと思うと気になり、いつも飲まないのに、お茶を飲んだ。 9時になり、看護婦さんが薬を持って来られる。 下剤、入眠剤を飲む。 夜中にトイレに行く時、ふらふらするようなら看護婦さんを呼ぶように言われる。 「明日目が覚めたら、後は言われた通りにしていればいい。先生方に任せておけば大丈夫。」と思いながら、思ったよりは早く眠ったようだ。 |
||